いつものように近くの公園で散歩をしていると
横の茂みからひょいと一匹の黒猫が飛び出した
びっくりして立ちすくむわたしを残して
黒猫は何事もなかったかのように前を歩き始めた
その後ろ姿にどこか惹かれるものがあって
少し距離を置いて後を追ってみることに
つけていることを知っているはずなのに
素知らぬ顔で悠々と先へ進む黒猫
幼い頃に飼っていた猫のことをふと思い出す
気まぐれでなかなか懐いてくれなかったけど
でもとても大切で大好きだった小さな親友
「ノワール」
突然の呼びかけに黒猫は立ち止まってゆっくりと振り向くと
小さく首をかしげて眩しそうにわたしを見た