椿(2006/12/31)

 その人は椿の花が嫌いだと言った

 花の時期が終われば潔く散ればいいのに

 これ見よがしに花ごと落ちる様が気に入らない

 そう言って地面に落ちている赤い花を靴底で踏みつけ

 わたしに笑って見せた

 その悲しい顔が今も忘れられない

 十二月三十一日

 十四回目の命日が間もなく終わる