秋空(2005/10/30)

 栞を挟んで文庫本を閉じ

 待合室の窓の外をふと見やる

 茜色の夕焼けを浴びてほのかに染まる巻積雲が

 鉄塔の間を伸びやかに流れている

 何も言わなくてもいいよ

 分かっているから

 耳をすませばほら

 冬の前奏曲が聴こえてくるから