オルゴール(2002/10/28)

 そっか、もう三年半も経つんだ。

 椅子にもたれ、指折り数えながら、

 過ぎ去った時に、過ぎ去った出来事に、思いを巡らす。

 あの時から二度と奏でる事のなかった、

 つい最近まで存在さえ忘れかけていた、

 ゼンマイ仕掛けのオルゴール。

 今度、この蓋を開ける時は、どんな音色がするのだろう――?

 そんな事をぼんやり考えながら、僕はゆっくりとネジを巻いた。