夢を継ぐ(2001/06/16)

 昼下がりの公園。


 穢れなき子ども達の歓声。

 どこか遠くから聞こえる、調子外れの鉄琴が奏でる軽やかなメロディ。


 木陰のベンチに腰掛け、コンビニで買った菓子パンとジュースでささやかな昼食をいそしむ。


 ロボットの玩具を握り締めた少年が、笑顔で私の前を駆けて行く。


 ああ、自分にもこんな時期があったんだなと、誰かが耳元で囁く。

 遠い記憶のリフレイン。


 ――大人になったら何になりたいの?

 ――ひこうきのパイロット!


 腕時計で時間を確かめる。

 どうやら私の夢見の時間は終わったようだ。


 今度は私が子ども達に新しい夢を与える番だ。

 ささやかな使命感と共に、私は仕事へと戻る。


 蒼天を見上げ、心の中で呟く。

 まだ見ぬ神よ、世界中の子どもから夢を奪う事なかれ――。