赤とんぼ(1999/08/08)

 澄み渡った水色の空に、赤とんぼが飛んでいた。

 橙色の体をした、小さなとんぼ。

 一匹、二匹、三匹、四匹。

 流れる風にたゆたうように、ふわふわ宙を舞う。


 もうそんな季節になったのか、としみじみ思うと同時に、最近、久しく昼間に外を出た事がなかった事に思い当たる。

 赤とんぼが飛ぶようになったのも、実はもっと前からで、単に今まで気が付かなかっただけかもしれない。


 赤とんぼ。


 いや、そういえば、彼らにもちゃんとした名前があったはずだ。

 あれは確か……何とか……アカネ。

 昆虫少年だった昔ならすらすら出てきた学名も、今となっては過去の記号の一部に過ぎない。


 お盆前の日曜日の一コマ。