澄み渡った水色の空に、赤とんぼが飛んでいた。
橙色の体をした、小さなとんぼ。
一匹、二匹、三匹、四匹。
流れる風にたゆたうように、ふわふわ宙を舞う。
もうそんな季節になったのか、としみじみ思うと同時に、最近、久しく昼間に外を出た事がなかった事に思い当たる。
赤とんぼが飛ぶようになったのも、実はもっと前からで、単に今まで気が付かなかっただけかもしれない。
赤とんぼ。
いや、そういえば、彼らにもちゃんとした名前があったはずだ。
あれは確か……何とか……アカネ。
昆虫少年だった昔ならすらすら出てきた学名も、今となっては過去の記号の一部に過ぎない。
お盆前の日曜日の一コマ。