テスト期間で大学の講義がないある日
ちょっとした用事で学校まで出掛けた
自転車に乗って坂を上っていると
なぜか君の姿があった
中学時代のある日の事をふと思い出す
たまたま朝早く出掛けると
好きだった彼女が
窓辺で静かに佇んでいた
彼女は明るい笑顔で僕に挨拶をした
それからの僕は
彼女が来るのを密かに心待ちして
毎日のように早めに家を出た
だがそれ以後は
僕を迎えてくれるのは無人の教室ばかり
それでも僕は信じ続けた
いつかまた彼女と二人きりの時間が過ごせる
そんな時が必ず来る
微かな希望は卒業まで続いた
そして僕は彼女と違う高校へと進んだ
それ以後の高校生活三年間
僕は朝の教室を独り占めし続けた
しかし彼女はついに現れなかった
しばらくして僕は地元の大学へと進んだ
やはり彼女は現れなかった
三年目の春に
親元を離れて一人暮らしを始めた
そこにも彼女の姿はなかった
しかし
ふと気がつくと
すぐそばに君の存在があった