Monologue (2002年9月29日)

2002/09/29 (Sun.)

NN4.xがなくならない理由は、結論から言えば「推奨している人がいるから」です。

それは誰かと言うと、NN4.x以外のブラウザを利用する事で不利益を被る、webアプリ管理者さんです。

インターネット上でのhttpサーバというと現在はApacheのシェアがトップですが、当然メーカーサポートというものは存在しません。サポートが利くhttpサーバというと、

という具合で、NTサーバで立てる場合はIIS、UNIXサーバで立てる場合はiPlanet/NEくらいしか選択肢がありません。

問題になるのが後者の製品を用いた場合で、基本的にNN4.xをターゲットとした作りになっており、webアプリ開発サイドも当然これに従った仕様で作成します。

一方、ユーザさんが新しいバージョンのブラウザを導入すると、サポートするJavaやJavaScriptの仕様が変わってしまうので、それによって不具合を生じてしまうような作りのアプリの管理者さんは当然困ります。特にAppletを利用したシステムで、ブラウザプラグインのバージョン依存が顕著に現れます。これを防ぐ為にUAで排他処理を行うものも少なくありません。

結果、「推奨ブラウザ NN4.x」という仕様のアプリが、世の中に存在してしまう訳です。古くからあるシステムで、自社内イントラネットのみで使うようなものが、しばしばこのケースに当てはまります。

もちろん、web技術の進歩に合わせてアプリの作りを見直す努力は必要です。が、お金や時間が絡むとなかなかおいそれと変更出来ないのが、企業のシステムの悪いところです。また、ユーザサポートという面からも「互換性」の文字に縛られて、思い切った対応は難しいのが実情です。

――以上の理由から、NN4.xは一向になくならならず、またhttpサーバの販売元もこれをサポートせざるを得ないのです。

ちなみに、NN4.xが広まって今なお使われているのには、Netscapeの販売戦略にも関係があります。

先にも書きましたが、Netscapeが販売していたhttpサーバ(Fasttrack ServerやEnterprise Server)はNN.4xに依存せざるを得ない作りになっていました。つまり、どちらもシェアを順調に伸ばせば結果的に自分達が潤う仕組みになっていました。

(ご存知の通りNN4.xはタダですので、ブラウザのシェアを増やすだけでは会社の利潤となりません。本業はあくまでもサーバソフトの販売です)

これが上手く回っているうちはよかったのですが、ブラウザやhttpサーバに技術的遅れが出てきた時に「サーバもブラウザも手が出せない」すくみ状態になり、それが長く続いてしまった為に他製品にシェアを取られてしまった――とわたしは推測します。

自分達の製品を市場でコントロールする事は企業活動として当然の行為ですが、次のステップに踏み出し損ね、ユーザニーズに応えるチャンスを失してしまったのがNetscapeの一番の失敗だと考えます。

最近はPC-UNIXも普及して比較的安い金額でhttpサーバを立てる事が出来るようになりました。Apacheという優秀なソフトが登場したおかげです。

またこれまでNetscapeが販売していたhttpサーバも後継のiPlanetからSun Microsystemsに移り、NNもMozillaという風が吹き込むようになりました。今後、NN4.xに関わる状況も少しずつ改善されると思います。